店舗内装デザインの手順やポイント|飲食店の種類別に計画
店舗内装デザインの手順やポイント|飲食店の種類別に計画
Column
2025.02.06

店舗の内装は、ターゲット層やテーマに合わせたデザインにする必要があります。本記事では、内装デザインのポイントを項目別にご紹介します。店舗の種類別に計画のコツもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
店舗内装デザインとは
店舗内装デザインとは、商業施設や店舗の内部空間をデザインするプロセスのことを指します。来店するお客様に心地よい体験を提供し、商品の魅力を最大限に引き出すことが主な目的です。
店舗としての機能性維持や照明計画といった内装工事を行うことで、ブランディング効果を高める効果も期待できます。店舗のデザインは、ブランドのイメージやコンセプトと一致することが重要です。カラーコーディネート、内装材、形状などの選定により、ブランドの特徴を強調します。こういった要素をバランスよく取り入れることで、売上や顧客体験の向上につなげられるのです。
店舗内装デザインの手順
ここでは、店舗内装デザインの主な手順についてご紹介します。ただし実際の工程とは異なる場合があり、それぞれの案件によってケースバイケースです。具体的な工事計画の際には、専門業者と一緒に相談するのがおすすめです。
①立地やターゲットを見極める
店舗の立地は、デザインやコンセプトを決定する際の重要な要素です。例えばオフィス街にある店舗と住宅地にある店舗では、求められる内装デザインや雰囲気が異なります。具体的には、次の点を考慮しましょう。
- 周辺環境:店舗がある地域の特性や交通の便、周囲にある他の店舗の種類を調査する。
- 人の流れ:通行量や近隣にいるターゲット層を分析し、動きに合わせた店舗の配置や動線を設計する。
ターゲットとなる顧客の特性を理解することで、内装デザインの方向性が決まります。具体的には年齢や性別、ライフスタイル、消費行動といった項目をしっかりと分析しましょう。例えば若い世代向けの店舗であればトレンドを反映したモダンなデザイン、シニア向けであれば安心感や落ち着いた雰囲気を持つデザインが求められます。そして想定される価格帯や商品の種類に応じて、ラグジュアリー感のあるデザインやカジュアルなデザインにすることが必要です。
また近隣の競合店舗のデザインやコンセプトを把握することで、差別化を図るのも有効です。似たような業種でも、異なるターゲット層に向けたデザインを行うことで独自性を出せるようになります。こういったステップでしっかりと立地やターゲットを見極めることで、その後のデザインプランが一貫した方向性を持ち、顧客心理に刺さる魅力的で適切な店舗作りが可能になります。
②テーマ・コンセプトを決める
テーマとは、店舗のデザイン全体を貫く基本的なアイデアやストーリーです。テーマが明確であるほど、デザインの一貫性が保てます。具体的には、ブランドの理念や価値観を反映したテーマを選ぶことが重要です。たとえばオーガニック製品を扱う店舗であれば、ナチュラルでシンプルなテーマが適しています。また狙ったターゲット顧客に響くテーマを選ぶことで、お客様に親近感を与えられリピーターを増やすことにもつながります。
そしてテーマを具体的に実現するための指針として、コンセプトを定めます。色彩、素材、形状、照明などの要素を組み合わせて、店舗の雰囲気を形成していく工程です。それに合わせて、店舗のレイアウトや動線設計もコンセプトに沿ったものにします。例えば開放感を大事にするコンセプトであれば、オープンなスペースや視界を遮らない配置が求められます。
さらに店舗での体験を楽しんでもらうためには、ストーリー性を持たせることも効果的です。テーマやコンセプトに基づいて、店舗内での体験がどのようにストーリーとしてつながるかを考えます。商品展示に物語性を持たせることで、お客様の関心を惹きつけられるのです。テーマやコンセプトはマーケティング戦略とも関連しているため、プロモーションや広告と一貫性を持たせることが重要です。同じテーマに基づいた広告を展開することで、一般認知度を高めましょう。
③施工業者を選ぶ
施工業者を選ぶ前に、必要な条件を明確にしておくとスムーズになります。例えば、内装デザインの特定分野における経験や専門知識を持っている業者を選ぶことが重要です。できれば飲食店やエステサロンなど、似たような業種の施工実績が多い業者が望ましいです。過去のプロジェクトやポートフォリオを確認し、デザインの質や施工の完成度を確認しましょう。
次に施工業者に見積もりを依頼することで、価格やサービス内容を比較できます。材料費、工賃、追加工事の可能性などを確認し、後のトラブルを防止しましょう。また施工期間や納品スケジュールを明確にし、納期が守れるかどうかも確認しておくと安心です。そして見積もり価格だけで選ぶのではなく、施工業者との相性やコミュニケーションも非常に重要です。デザインの意図や要望を正確に理解してくれる業者に依頼することで、施工後のミスマッチを防げます。
店舗内装デザインのポイント|項目別に紹介
ここでは、店舗内装デザインのポイントについて項目別にご紹介していきます。
床材・壁材
まず床材については、店舗は人の出入りが多いため高い耐久性が求められます。特に飲食店や小売店の場合、汚れや傷に強い素材を選ぶことが重要です。また滑りにくい素材や防水性のある床材にすると、日々のメンテナンスが楽になります。床材の色や質感は、店舗のイメージを強調するのに役立ちます。例えば木材やタイル、ビニールシート等、店舗の雰囲気に合わせた素材を選びましょう。
そして壁材に関しては防水性や耐火性、耐汚染性など、使用する場所に応じた機能を持った素材を選ぶことが重要です。一般的には壁紙やペイントが採用されることが多く、豊富なデザインが選べるためインテリアに柔軟に対応させたい場合におすすめです。そして部分的にタイル等を貼れば、アクセントウォールとして空間演出に役立ちます。ポイントを考慮しながら床材や壁材を選ぶことで、機能的かつ魅力的な店舗空間を作りましょう。
建具・窓
建具は出入り口として機能するだけでなく、音や温度の管理にも影響します。そのため、店舗の特性に応じた機能を考慮して選ぶことが重要です。例えば引き戸、開き戸、スライディングドアといった種類があるので、適したタイプで計画しましょう。また建具のデザインは、店舗の全体的な雰囲気やブランドイメージを反映します。適切なサイズと開閉方法を選ぶことで、動線の確保や使いやすさにも配慮できます。
一方で窓には、採光や通風といった役割があります。自然光を取り入れることで、店舗の雰囲気や商品の見栄えが向上します。そのため、適切な位置とサイズの窓を計画することが重要です。ただし窓は外部からの侵入経路となることがあるので、強度やロック機能を備えた安全なデザインにしておくことが重要です。
家具・小物
店舗内装デザインでは、目的に応じた機能的な家具を選ぶことが重要です。例えばカフェでは座りやすい椅子やテーブル、小売店では商品陳列用の棚などが求められます。テーマやブランドイメージを反映させるために、色、素材、形状などが統一感を持つように考慮しましょう。顧客が快適に移動できるように、動線計画にも配慮すると安心です。
そしてインテリアに合わせて装飾品を配置すると、よりおしゃれなデザインになります。壁飾りやアート作品など、視覚的なインパクトを与えるものがおすすめです。飲食店の場合には、コースター、メニュー立て、ディスプレイ用のトレーなど、店舗の運営に役立つ実用的な小物のセレクトも重要です。
照明
照明の明るさや色温度を調整することで、居心地の良い空間を提供できます。また照明は、視認性を高める役割も持ちます。例えば商品を引き立てる照明や、作業スペースを明るく照らす照明が必要です。また照明によって動線を明確にすることで、お客様やスタッフがスムーズに移動できるというメリットもあります。
実際の計画では、カフェ、レストラン、小売店など、店舗の業種に応じた照明計画が必要です。飲食店では食事を引き立てる柔らかな光が好まれますが、小売店では商品を明るく照らすことが重視されます。最近では時間帯に合わせて光の色や明るさを変化させられる照明器具もあり、適宜調整することでさらに快適な空間を提供できます。
また店舗では季節や状況に応じてレイアウトを変更する可能性が高いため、角度を調整できるスポットライトが採用されることが多いです。特定の場所を強調するのに便利で、特にテーブル面や商品のディスプレイを照らすのに効果的です。
店舗種類別の内装デザイン計画のコツ
ここでは、店舗の種類別に内装デザイン計画のコツをご紹介します。開業や改装を検討されている場合には、ぜひ参考にしてみてください。
カフェ
カフェの内装デザインでは、最初にインテリアのスタイル(ナチュラル、インダストリアル、ヴィンテージなど)を明確にしてからデザインを進めます。どのような顧客を想定しているのかを考慮し、好ましい雰囲気やデザインを反映させましょう。またカフェは滞在時間が短いことで回転率が高い傾向があるため、スタッフの動線を考えたスムーズな動線計画も重要になります。特に、入店から席に着くまでの動線を意識するのがポイントです。テーブルと椅子の配置は、プライバシーを考慮しつつ集客力を最大限高められるように工夫します。カウンター席、テーブル席、ソファ席といった様々なタイプの座席を配置することで、様々なニーズに応えられます。
また、カフェでは音響設備も重要です。音楽や環境音の選定に注意を払い、リラックスできる音環境を作りましょう。そしてカフェは多くの人が利用するため、内装には耐久性のある素材やデザインを選ぶことが重要です。
居酒屋
居酒屋の内装デザイン計画は、雰囲気を重視しつつ、お客様がリラックスできる空間を作ることが重要です。伝統的な和風、モダンなスタイル、地方の特色を生かしたデザインなど、まずは居酒屋のコンセプトを決定します。店内のスペースに応じて個室や半個室を設けることで、グループ客のプライバシーを確保するのもポイントです。
照明計画では暖色系の照明を使用することで、温かみのある落ち着いた雰囲気を演出できます。また間接照明を取り入れて柔らかな光で照らすと、リラックス感の高い空間になります。内装材には和の雰囲気を生かした色合い(木目調、深い色合い)を選ぶことで、落ち着いた空間になるためおすすめです。最近では、あえて調理場を客席から見せる構成も人気です。これにより調理のライブ感が演出できるため、お客様満足度の向上につながります。
バル、バー
バルやバーの内装デザインは、特に雰囲気を重視して魅力的な空間を提供することが重要です。クラシック、モダン、ビーチスタイルなど、バーのスタイルを明確にし、それに基づいたデザインを進めます。その上でお客様やスタッフの動線を考慮し、スムーズな流れを確保します。特に、バーカウンターとテーブル席の配置は重要です。長時間過ごせるよう、座り心地の良い椅子やテーブルを選びましょう。
またバルやバーは、深夜の時間帯での利用を考慮した照明計画が求められます。煌々と明るい照明だと雰囲気を損ねてしまうため、明るさを調光できる機能を付けておくのがおすすめです。間接照明やスポットライトを利用して、あえて陰影を付けたメリハリのある照明にした方が雰囲気が良くなります。
フィットネス
フィットネス施設の内装デザインでは、機能性や快適さを重視しつつモチベーションを高める空間を作ることが重要です。ジム、ヨガスタジオ、パーソナルトレーニングなど、施設のタイプに応じたテーマを決定します。主な顧客層(初心者、上級者、シニア層)を考慮し、そのニーズに合った雰囲気や機能を取り入れることも重要です。
また動線計画ではトレーニングエリア、ロッカールーム、受付などの動線をスムーズにするための配置を考えます。有酸素運動エリア、ウェイトトレーニングエリア、ストレッチエリアなど、機能に応じたスペースを明確に分けておくと人の流れがスムーズになります。状況に応じて、グループレッスンやイベントに対応できるフレキシブルなスペースを設けておくと便利です。
照明では、明るくエネルギッシュな雰囲気を演出しましょう。特に運動エリアでは、自然光を取り入れる工夫も効果的です。ただしヨガやピラティスでは瞑想を行うこともあるので、調光機能を付けた方が快適になります。そして水分補給をしたり汗をかいたりすることを考慮して、耐久性のある素材や手入れがしやすい素材を選ぶとメンテナンスが楽です。
エステサロン
エステサロンの内装デザインでは、リラックスできる空間を提供することがポイントです。リラクゼーションやビューティーといったサロンのコンセプトを明確にし、それに基づいたデザインを進めます。施術やトリートメントの種類に応じた、フレキシブルなスペースを設けると便利です。内装ではパステルカラーや自然を感じさせる色合いを使用することで、穏やかな雰囲気を演出できます。また最近では「メンズエステ」の人気が高まっており、女性だけでなく男性の利用も想定する必要があります。そのため過度に可愛らしい内装ではなく、シンプルなデザインの方が汎用性が高くなりおすすめです。
待合スペースや施術室には快適な椅子やベンチを配置して、リラックスできる空間を作り出しましょう。木材や天然素材の家具を選べば、温かみのある雰囲気を演出しやすくなります。美容商品やトリートメントメニューを取り扱う場合には、受付にディスプレイを設置することも効果的です。
まとめ
店舗デザインの内装では、マーケティングの領域まで含めた総合的な計画が求められます。店舗の業種によって計画方法やスタイルが異なるため、ぜひ専門業者と一緒に計画を進めてみましょう。