スケルトン工事の費用相場|飲食店開業のための工事内容もチェック!
スケルトン工事の費用相場|飲食店開業のための工事内容もチェック!
Column
2025.01.14
店舗の改装や転居の際には、スケルトン工事を行うのが一般的です。しかし場合によっては「費用相場は?」「実際の工事内容が分からない…」と悩んでしまうケースもあります。そのため本記事では、スケルトン工事の費用相場や飲食店開業の際に必要な工事についてご紹介します。
スケルトン工事とは
スケルトン工事とは、建物の内部を完全に解体して構造躯体だけを残す工事のことを指します。内部をすべて解体するため、間取りを大幅に変更することが可能です。これにより、目的に合わせた最適なレイアウトを作りやすくなります。
スケルトン工事のメリット
スケルトン工事の主なメリットとしては、下記の点が挙げられます。
- 自由な間取り変更
- 建物の安全性向上
- 設備・断熱性能の向上
古い建物の場合、スケルトン工事を行うことで構造部分のチェックが可能になり、耐震補強や構造補修を行えます。これにより、地震に対する安全性を高められるのがメリットです。また水回りや電気配線、配管など、古くなった設備も一新できます。スケルトン工事は大掛かりな工事なのでコストがかかりますが、長期的な視点では非常に有益な選択肢です。
スケルトン工事の注意点
スケルトン工事を検討する際には、以下の注意点を考慮しましょう。
- コストの見積もり
- 工期の長さ
- 施工業者の選定
スケルトン工事は大規模な工事であるため、費用が高額になることが多いです。そのため解体から新たな内装・設備の設置まで含めた総額を事前に確認し、予算オーバーを避けるために慎重な見積もりを行いましょう。また工期が長くなることもあるので、退去日や開店日を上手く調整することが求められます。そしてスケルトン工事には、専門的な知識と技術が必要です。工事実績や評判をよく調べ、複数の業者から見積もりを取るようにしましょう。
スケルトン工事と内装工事の違い
スケルトン工事とよく似た言葉として「内装工事」があります。どちらも建物の改修やリフォームに関わる工事ですが、スケルトン工事は建物の内部をすべて解体して構造躯体だけを残すのに対して、内装工事は壁、床、天井、設備などを部分的にリフォームするという点が大きな違いです。スケルトン工事は大規模でコストが高い一方、内装工事は比較的小規模でコストも抑えられる傾向があります。どちらを選ぶかは、リフォームの目的や予算、建物の状態によって決めましょう。
スケルトン工事の種類
ここでは、スケルトン工事の種類についてご紹介します。
①スケルトンに解体する
スケルトンに解体する工事では、内部の仕上げ部分や設備などをすべて取り除き、構造躯体(柱や梁、壁などの建物の骨格部分)だけを残します。壁紙や天井材、床材などの仕上げ材をすべて撤去します。さらに間仕切り壁も取り壊されるため、フロア全体が広い空間となるのが特徴です。
構造躯体だけが残るため、間取りの自由度が高くなります。新しい用途に合わせて、ゼロから内装を設計できるのがメリットです。また老朽化した部分の確認と修繕: 壁や床をすべて取り除くことで、目に見えない部分の老朽化や劣化を確認し、適切に修繕することもできます。
②スケルトンから内装を仕上げる
スケルトン工事の一環として、構造のみの状態から新たに内装をゼロから仕上げていく工事も含まれます。このプロセスでは、建物の骨格だけの状態から内装を施すことで、機能的で美しい居住空間を再構築できるのが特徴です。基礎工事や配管・配線の敷設、断熱材の追加や、床下の防湿処理などもこの段階で行われます。また間仕切り壁の設置、床材、壁材、天井材などの仕上げ材の選定も行います。古い設備をすべて新しいものに交換できるため、機能性が大幅に向上できるのもメリットです。省エネ性能や使い勝手も改善され、快適な環境が整えられます。
解体スケルトン工事の費用相場目安
ここでは、解体スケルトン工事の費用相場目安についてご紹介します。ただしあくまでも一般的な目安なので、実際の費用については工事業者に見積もりを依頼してみるのがおすすめです。
①建物の種類
一般的な店舗のスケルトン工事の費用目安は、下記のようになります。建物の種類によって水道や配線設備に違いがあることから、スケルトン費用にも差が生じます。
- 飲食店:12,000円/㎡~
- 物販店:8,000円/㎡~
- 美容室:9,000円/㎡~
- 事務所:7,500円/㎡~
②延床面積
延床面積が広い方が、スケルトン工事費用も高くなります。物件の広さに応じて、適切な予算を立てておきましょう。
- 約11坪:約12万円
- 約30坪:約42万円
- 約70坪:約55万円
- 約95坪:約89万円
解体スケルトン工事の流れ
ここでは、解体スケルトン工事の一般的な流れについてご紹介します。大まかな流れを知っておくことで、失敗の無い工事を実現しましょう。
工事契約・現地調査
まずは、お施主様と施工業者との間で工事に関する要望や希望を詳細に確認します。例えば「どの範囲を解体するのか」、「新たにどういった内装を作りたいのか」といった項目の他、予算や工期の希望などを伝えましょう。
そして必要に応じて現地調査を行い、建物の状態を確認します。これには建物の構造や老朽化の程度、解体が必要な部分などが含まれます。現地調査の結果を基に、工事の詳細がさらに具体化されます。工事内容が確定した後、施工業者が見積もりを提示するのが一般的です。見積もりには、解体作業費用、処分費用、内装仕上げの費用などが含まれます。契約書の内容に双方が同意した後に署名・捺印を行い、工事の開始に向けた準備が進められます。
近隣店舗へのあいさつ
近隣店舗へのあいさつは、工事による迷惑やトラブルを未然に防ぐための重要なステップです。どのような工事が行われるのか、期間はどれくらいか、工事の影響(騒音、振動、工事車両の出入りなど)がどの程度あるのかを、事前に説明しておきましょう。店舗周辺での工事は営業に支障が出てしまう可能性があるため、具体的な影響とその対応策についても話し合っておくと安心です。可能な限り影響を軽減するための配慮を伝え、協力をお願いすることが大切です。また必要に応じて工事中の緊急連絡先を提供し、何か問題が発生した場合にすぐ対応できる体制を整えておきましょう。
内装・床材の撤去
まずは、撤去する内装や床材の範囲を事前に確認します。設計図や打合せの内容に基づき、どの部分を撤去し、どの部分を残すかを明確にしておくのがポイントです。そして電気や水道の供給を一時的に停止する等の安全対策を行うことで、トラブルを防止します。
そして、壁に貼られたクロス(壁紙)やボード、タイルなどの内装材を撤去します。必要に応じて、間仕切り壁も取り除きます。撤去作業は、手作業や小型の工具を使って行われることが多いです。天井部分の撤去は高所作業となるため、特に安全面に配慮しながら進めます。さらに、床材を支える下地部分も撤去することがあります。下地が劣化している場合や新しい下地を必要とする場合には、古い下地を取り除く工程も含まるため注意しましょう。
廃棄物の清掃
内装材や床材等の撤去作業が完了した後、現場に残された廃棄物を整理します。素材ごとに分類し、適切な処理方法に従って廃棄するのが重要です。たとえば、木材、金属、コンクリート、石膏ボード、プラスチックなど、それぞれ別々に分けて処理します。これによりリサイクル可能な資源を有効に活用し、環境への負荷を軽減します。
解体や撤去作業の過程で発生した小さな破片や粉塵など、細かい廃棄物は丁寧に清掃します。次の工程で使う資材がダメージを受けないように、徹底した清掃が求められます。最終的にお施主様や工事責任者が現場の清掃状態を確認し、問題がなければ次の工程に進む準備の完了です。
スケルトンから飲食店を作るための工事内容
ここでは、スケルトン状態から飲食店を作るための工事内容についてご紹介します。具体的な工事内容を把握しておけば、スムーズな打ち合わせに役立てられます。ただし店舗形態によっては行われない項目もあるため、実際の工事内容については施工業者に相談してみるようにしましょう。
仮設工事
仮設工事とは、工事全体をスムーズかつ安全に進めるための一時的な設備や構造物を設置する作業です。周囲に仮囲いを設置したり、仮設電気・水道工事を行ったりする工事が含まれます。
また高所作業が必要な場合や建物の外装や天井部分の工事を行う際には、仮設足場を設置します。足場は作業員の安全を確保するため、しっかりと固定されて強度が十分にあることが求められます。
軽天、ボード工事
「軽天」とは、軽量鉄骨でできた天井や壁の骨組みのことを指します。強度がありながら軽量であるため、天井や壁の構造を支えるのに適しています。骨組みの上に石膏ボードや合板を取り付けますが、ボードを取り付ける前に配線や配管を通す作業も重要です。
ボード工事の仕上げとして、全体の表面が平滑であるかを確認します。必要に応じてパテでさらに表面を整え、後の仕上げ作業がスムーズに進むようにします。この工程を丁寧に行うことで店舗の安全性やデザイン性が高まり、飲食店としての快適な空間が実現するのです。
左官工事
左官工事は、主に床部分を作る作業のことを指します。この工事では、モルタルなどの材料を使用して床面を平滑にし、デザインや機能に合わせた状態に仕上げます。厨房の床では熱気具の配管を通すスペースが必要になるため、合わせて行われることが多いです。
防水工事
防水工事とは、下階への漏水を防ぐために床や壁に防水層を施す作業のことを指します。この工事では、水や湿気から内部を保護するために防水シートや塗料を使用して、防水性能を確保します。特に厨房や洗面所など、水回りのエリアで重要です。
内装仕上げ工事
内装仕上げ工事とは、スケルトン状態から内部の壁、天井、床などを完成させる作業のことを指します。具体的には、壁紙やペイントの塗装、床材の取り付け、照明や内装アクセサリーの設置などが含まれます。この工事により店舗の最終的なデザインと機能性が整い、仕上がりにぐんと近づきます。
建具・家具造作工事
建具・家具造作工事とは、スケルトン状態から飲食店を作る際に、内装のドア、窓枠、カウンター、棚などの造作を行う作業のことを指します。オーダーメイドの建具や家具を設置し、店舗の機能性とデザインを具体化する工程です。ドアの素材やガラスの有無等をコーディネートすることで、店舗全体のデザインに統一感が生まれます。
設備工事
設備工事とは、スケルトン状態から電気、配管、空調などの基本的なインフラを設置する作業のことを指します。具体的には、照明、コンセント、給水・排水管、冷暖房システムなどを取り付け、店舗の運営に必要な機能を整えます。店舗の種類によってガスや電気の使用量が異なるため、業態や稼働状況に応じた計画を行いましょう。
防災工事
防災工事とは、火災や災害に対する安全対策を施す工事のことを指します。具体的には、火災報知器やスプリンクラーの設置、避難経路の確保、防火扉の取り付けなどを行い、店舗の安全性を高めます。特に飲食店で厨房機器を扱う場合、消防署に申請が必要になるので注意しましょう。
まとめ
スケルトン工事は、店舗の改装や新規開店時には欠かせない工程です。大まかな費用や工事内容を知っておくことで、後悔の無い工事計画を立てましょう。ただし実際の内容は店舗によって様々なので、ぜひ専門業者に見積もり依頼をしてみるのがおすすめです。