レストランの内装計画のポイント|おしゃれなデザインにする方法とは
レストランの内装計画のポイント|おしゃれなデザインにする方法とは
Column
2024.12.03
レストランの印象は、内装によって左右されることが多いです。そこで本記事では、レストランの内装デザインをおしゃれにする方法や、具体的な費用の目安についてご紹介します。これからレストランの開業や改装を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
レストランの内装デザインで考慮するべきポイント
ここではまず、レストランの内装デザインで考慮すべきポイントについて整理しておきます。順序立てて計画することで、失敗しない内装計画を実現しましょう。
①料理の種類
レストランの料理としては、和食・フレンチ・イタリアン・中華などの種類が挙げられます。どのジャンルに属するかによって、内装のテーマやデザインの方向性を決めるようにしましょう。例えば和食レストランでは、木材や畳、障子などを使った伝統的な日本風のデザインが適しており、イタリアンレストランでは暖色系の色調やレンガ等を取り入れた地中海風のデザインが好まれます。
ただし料理のコンセプトに一貫性があり、デザインが料理とマッチしていることが重要です。料理の種類と内装デザインが合わないと、お客様の印象が損なわれてしまう可能性があります。また文化的な要素を取り入れる際には、過度にステレオタイプにならず誤解を招かないように慎重にデザインすることも大切です。文化的な装飾を取り入れる際には、背景を理解して敬意を払った表現にすることが求められます。
②立地条件
レストランの立地条件によって、外観や内装の設計、レイアウト、素材選び、お客様に与える印象が大きく変わります。例えば都心にあるレストランでは、モダンでスタイリッシュなデザインや高層ビルの風景に合ったシンプルなインテリアが好まれます。一方で自然に囲まれたレストランにおいては、自然素材を使った暖かみのあるデザインや、外の景観を取り入れた開放的な空間作りが適しています。
そのため周囲の建築物や自然との調和を意識し、違和感のないデザインを採用することが大切です。具体的には住宅街にあるレストランでは派手すぎるデザインやネオン照明は避け、静かで落ち着いたデザインにすることが求められます。
またレストランが大通り沿いにあるか裏路地にあるかによっても、外観のデザインや視認性に大きな違いが生まれます。人通りの多い場所では、外観が目立つデザインや看板、ガラス張りで店内が見えるようにするなど、視認性を高める工夫が重要です。そして隠れ家的なレストランでは、静かで落ち着いた外観にした方が逆に魅力的に映ることが多いです。
さらに立地するエリアによっては、都市計画や景観保護などの規制がある場合があります。特に歴史的な街並みや風致地区などでは、外観や素材に対して厳しい制限がかかることが多いです。そのため建築基準や規制を事前に把握し、それに従った内装・外装の設計を行うようにしましょう。
③ターゲット層
ターゲットとなるお客様の年齢、性別、ライフスタイル、趣味嗜好に合わせて内装デザインを計画することで、集客力を高めて満足度を向上させられます。具体的には年齢層・ライフスタイルといった切り口でターゲットを設定することが多いです。
まず年齢層については、主に若年層・ファミリー・シニアといった分類になります。トレンドに敏感な若い世代をターゲットにする場合、カジュアルでスタイリッシュなデザインや、SNS映えする要素を取り入れた内装がポイントです。ポップなカラーやユニークなアート、投稿しやすいフォトスポットなどが人気です。一方でファミリー向けのレストランでは、快適かつ安全な環境が重視されます。小さなお子さま連れであることを想定して、ベビーチェアやキッズスペース、ゆったりとした座席の配置が必要です。最後にシニア層がターゲットの場合、落ち着いた色調とシンプルで居心地の良い空間が求められます。座りやすい椅子や、移動がスムーズな動線計画がされていると安心です。
次にライフスタイルに応じたデザインでは、立地も大きく関係します。都市部のオフィス街でランチやディナーを提供するレストランであれば、効率的な動線やスタイリッシュで洗練されたデザインが好まれます。Wi-Fi環境や電源コンセント、個室など、仕事の合間に訪れるビジネス利用者向けの配慮も重要です。また最近では、健康志向の高い顧客層をターゲットにするレストランも増えています。ナチュラルな素材や自然光を取り入れたデザイン、植物を使った装飾が人気です。エコ志向の顧客を意識するなら、持続可能な素材やエネルギー効率を考慮したデザインも考慮しましょう。
このように「ターゲット層」に合わせた内装デザインは、集客力やリピート率に大きく影響を与えます。顧客のニーズや期待を的確に把握し、それに応じた空間作りを行うことが成功するレストランの鍵となります。
④厨房・バックヤードの動線計画
厨房とバックヤードの動線は、作業効率を高めるために重要です。食材の準備、調理、盛り付け、配膳、そして片付けまでの流れがスムーズに行えるように設計する必要があります。例えば、以下のような基本的な動線を考慮することが重要です。
- 食材の搬入から仕込みエリアまでの動線
- 調理エリアから配膳エリアへの動線
- 食器を下げて洗浄エリアまで運ぶ動線
このように、各ステップが連続してスムーズに行えるようなレイアウトが理想的です。動線が無駄に交差したり長すぎたりすると、スタッフの作業効率が悪化して時間がかかってしまいます。またそれだけでなく、事故や衝突のリスクも高まります。特に通路が狭すぎるとスタッフ同士がぶつかって火傷やケガの原因となってしまう可能性があるため、幅や通りやすさを確保することが大切です。
さらに、衛生管理の観点も重要です。具体的には生の食材を扱うエリアと調理済みの料理を提供するエリアを明確に分けることで、食中毒リスクを減らせます。また清掃用具やゴミ捨て場の動線も、衛生基準に沿った適切な場所に配置するようにしましょう。しっかりとした動線設計を行うことでスタッフがストレスなく作業を行えるようになり、顧客へのサービスの迅速さや質も向上できます。
レストランの内装デザインをおしゃれにする方法
ここでは、レストランの内装デザインをおしゃれにする方法についてご紹介します。基本的なポイントを守ることで、誰にとっても過ごしやすい空間を作りましょう。
配色は色数を絞る
配色の色数を絞ることで、レストランの空間全体に統一感が生まれます。色が多すぎると空間が散らかった印象や雑多な雰囲気になりがちですが、少ない色にまとめることですっきりとしたデザインが実現します。具体的にはメインカラーを1〜2色に決め、それにアクセントカラーを1色足す程度のシンプルな配色がおすすめです。
また色数を絞ることで、レストランのブランドイメージやテーマにぴったりの配色を強調できます。例えばナチュラルな雰囲気を目指すレストランであれば、ベージュやグリーンなど自然を連想させる色を基調にし、それに合うアクセントカラーを選ぶことで、一貫したテーマを作り上げられます。シンプルであるほど、テーマに忠実なデザインが際立ちます。
ただし色数を絞りすぎると、単調で無機質な印象を与える可能性があります。特にあまりにも同系色だけでまとめてしまうと、空間がのっぺりとした感じになって魅力を欠くことがあります。そのためアクセントカラーや異なる質感の素材を取り入れ、適度な変化をつけることが大切です。統一感を持たせつつ配色のバランスを工夫してアクセントカラーを適度に活用することで、より魅力的で居心地の良い内装デザインを実現しましょう。
照明計画にこだわる
照明は、レストラン全体の雰囲気を作る上で重要な役割を果たします。例えば暖色系の照明を使うと温かく落ち着いた雰囲気になり、リラックスした食事を楽しめる空間が生まれます。反対にクールな白色照明は、モダンでスタイリッシュな雰囲気を演出します。このように照明の色温度を調整することで、レストランのコンセプトやターゲット層に合わせた空間をデザインできるのです。
最近では一つの照明だけでなく、複数の照明を組み合わせる手法が人気です。具体的には、全体を照らすアンビエント照明(天井照明など)・料理やテーブルを照らすタスク照明(ペンダントライトやスポットライト)・空間のアクセントとなるアクセント照明(間接照明やディスプレイライト)を組み合わせることで、立体感のあるデザインが実現します。必要な場所に適切な光を配置することで、空間にメリハリが生まれます。
ただし照明の位置や角度を誤ると、グレア(まぶしさ)が発生して不快感を与えることがあります。特に直接目に入る強い光や反射光は視覚的に疲れを感じさせてしまうため、照明器具のデザインや配置には十分な注意が必要です。そのため光源を間接的に隠すデザインや、光の方向を調整できる器具を使用するのがおすすめです。間接照明を使うことで柔らかい光が壁や天井に反射し、空間全体が優しい雰囲気に包まれます。
外装と統一感を持たせる
レストランの外装と内装が統一されていると、一貫したブランドイメージを与えられます。顧客がレストランのコンセプトやスタイルを直感的に理解しやすくなり、イメージを強く打ちだせるのがメリットです。また視覚的に魅力的なので、SNSなどでのシェアや口コミでも注目を集めやすくなります。
レストランの外観は顧客が最初に目にする部分であり、内装デザインとつながっていると、スムーズな顧客体験を提供できます。例えばカフェ風のナチュラルな外観を持つレストランでは、内装も同様に木材を使った家具や自然光を活かしたデザインにすることで、外から中への移行が自然に感じられます。色調に関しても、外観のカラーと同じ系統の色を内装に使用することで統一感が生まれます。これによりレストラン全体が一つの作品のようなまとまりを持ち、視覚的に美しい空間が実現するのです。
大きなガラス窓やオープンエントランス等がある場合、外部からの見え方も意識してデザインすることが重要です。外からの視線を意識して内装のデザインを考慮することで、店舗の一部として外観を補完するような印象を作り出せます。特に夜間の照明を利用して内装のデザインを際立たせることで、店の魅力をアピールすることが可能です。内外のデザインを調和させることで、特別な時間を提供するおしゃれなレストランを実現しましょう。
レストラン内装の費用相場・坪単価の目安
レストラン内装の費用相場や坪単価は、1坪当たり60~100万円程度 となることが多いです。しかし店舗の規模やコンセプト、デザインの複雑さ、使用する材料、設備の内容によって、費用は大きく変動します。例えば既存の内装を活かしながら部分的に変更する場合、壁紙の張り替えや照明の交換、テーブルや椅子の入れ替えが主な工事になります。このような場合には、比較的リーズナブルな価格で済みます。
一方で内装デザインにある程度こだわりたい場合や、厨房設備の新設・改修も含めた全体的な改装が必要なケースだと、コストが高くなる傾向があります。高級素材やオーダーメイドの家具、デザイン性の高い照明や特注品を使用する場合にも、多くの費用がかかります。
レストラン内装費用を抑える方法
ここでは、レストランの内装費用を抑える方法についてご紹介します。なるべく無理のない計画を立てることで、運営時のサービス内容やスタッフの人件費等にも予算を回せるようにしておきましょう。
居抜き物件を活用する
居抜き物件とは、前のテナントが使用していた設備や内装がそのまま残っている物件のことを指します。厨房設備等をそのまま使うことで新たに設置する必要がなくなるため、設備投資が減少します。特に飲食店の厨房機器は高額なため、設備の再利用が可能であれば数百万円単位でのコストダウンが期待できます。
ただし 前のテナントが使用していた設備や内装は、経年劣化している可能性があります。そのため、契約前に状態をしっかり確認することが大切です。また居抜き物件では、前のテナントのレイアウトが既に決まっているため大きな変更が難しい場合があります。動線や席数、厨房の配置が合わない可能性もあるため、事前にそのレイアウトが適しているかを確認するようにしましょう。最低限の改修で済むように、可能な範囲でレイアウトを調整したり、店のコンセプトに合わせた工夫を施したりすることが求められます。
厨房設備は中古で調達する
新品の厨房設備は非常に高価で、特に大型機器(冷蔵庫、冷凍庫、オーブン、フライヤーなど)は数百万円する場合があります。こういった機器を中古で調達することで、大幅なコスト削減が期待できます。中古でも高品質な機器を選べば、新品同様に長く使用できます。初期費用を抑えながらも信頼性の高い機器を導入できるため、コストパフォーマンスが向上します。
ただし中古設備は使用歴があるため、経年劣化や故障リスクがあります。購入前に設備の動作確認や状態チェックを行い、問題がないかを確認することが重要です。そして、新品と比較すると寿命が短くなる場合もあります。特に冷却機器やオーブンなど使用頻度の高い機器は摩耗している可能性が高いです。購入後には定期的なメンテナンスを怠らず行うことで、使用期間を延ばすことにつながります。
相見積もりを取る
相見積もりとは、複数の業者に対して同じ工事内容の見積もりを依頼して比較することを指します。これにより各社の価格やサービス内容を比較でき、どの業者がコストパフォーマンスに優れているかが一目でわかります。価格は業者によって大きく異なることがあるため、相見積もりを取ることで過剰な支出を避けることにつながるのです。
ただし見積もり内容だけでなく、業者の対応や提案力を比較することも重要です。実際に会って話を聞くことで、信頼性や施工に対する姿勢、サポート体制を確認できます。特に細かい要望に応じてくれる業者や、工事のスケジュールに柔軟に対応できる業者を見極めることが可能です。単に価格が安いだけでなく信頼できる業者を選ぶことで、後々のトラブルを避けてスムーズな内装工事を実現しましょう。
まとめ
レストランの内装計画では、提供する料理の種類やターゲットに合わせたプランにすることが重要です。その際には、信頼できる業者選びもポイントとなります。計画段階から開業まで長い付き合いとなるため、対応力の高い業者に依頼するようにしましょう。